如月の空の下、光る君を見つけた。

ひきずってはいるけれど、大丈夫だって自分に言い聞かせて登校した。



「ちょっとことり、大丈夫?」


「あぁ、みっちゃん。おはよー」


「ねえ、ことりも見たでしょ?如月陽翔熱愛って」


「見たよ。大変なことになっちゃってるよね」


「は?あんたそれだけ?他になんかないの?」


「ないよ。だってもう終わったし」


「そ、そう。墓穴を掘り返すようなこと言ってごめん」


「気にしないでぇ。あはは...」



笑ってごまかすしかないでしょうが!


本当は胸がずっぎゅんずっぎゅん痛いよ。


めまいがして倒れそうだよ。


それでももう終わったことだって言い聞かせて脳内から排除しようとしてるんだよ。


一般常識問題対策プリントを取り出し、とにかく見た。


脳内に別の重要事項を入れることで忘れようとしているのだ。


もう振り返らない。


終わったんだ。


消えては甦る記憶を脳内消しゴムでごしごし消しながら勉強に真面目に取り組んだ。