片桐くんって誰だっけ?


もしかして同じクラスの人?


なんか、いたようないなかったような...。


思い出せないなぁ。


私バカだから人の名前覚えるの苦手なんだよね。


好きな歌の歌詞はすぐに覚えられるのにな。


私もみっちゃんみたいに賢く美しくたくましく産まれたかった。


このままではトホホの人生だ。


この先、私はどう生きていくんだろう。


そもそも生きていけるのかな?


そんなことを考えていたら体温が急降下し、体が震えてきた。


こんな時は早く帰って陽翔くんを見よう。


そうだ、それがいい。


もちろん見たら勉強するし、勉強しながら歌を聴いちゃうんだから。


と、結局はルンルン気分で鼻歌を歌いながら廊下をスキップで通りすぎた。


教室に差し掛かり、何か波動を感じた。


ドア付近に微かに香る甘い匂い。


そして、半開きになったドアから差し込む真っ赤に燃え盛る夕日。


ま、まぶしい...。


こんなまぶしい教室は初めてだぞ。


私は目を細めながらドアを開けて中に入った。


するとそこには...。