「そう言えばことりに言われたから8月の追加公演の応募しておいたよ」


「あっ、ありがとう」


「じゃ、あたし行くね。また明日」



バスケ部のみっちゃんはとにかく動きが素早い。


さっさと荷物をまとめてチーターのように颯爽といなくなってしまった。


そっか。


私、5周年記念ライブにも行く予定だったんだ。


1回目に応募したときは悉く外れて新規の方が当たりやすいという法則を利用し、年会費を払うから入ってと懇願してみっちゃんを入会させた。


そして追加公演に応募してもらったんだった。


はぁ。


私って、ほんとヲタクだな。


推しに会いに行きたくてありとあらゆる手を使ってきた。


でも、そんなのももうお仕舞いだ。


5周年を迎えたらファンクラブを抜けようと思う。


これは私のケジメでもある。


今まで心の支えになってくれたのは、いつだって陽翔くんだった。


だから今度は私の番だ。


私みたいなファンがいることが詩央くんの負担になるというなら私はファンを辞める。


少しでも荷物を軽くしてあげたい。


そして高校の友達として過ごすんだ。


私だけじゃなくて色んな人と仲良くなって卒業してもらいたい。


その手助けをするのが私の今後の役割になると思うんだ。


だから、バイバイなんだ。


私に夢と希望と元気と笑顔をくれた如月陽翔くんとはあと少しでお別れ。


辛いけど、否めない。