昼休みになるや否や陽翔くんは私の席にやって来た。



「行こう」


「う~ん」



幸せオーラ駄々漏れだ、こりゃ。


隠したくても隠せないよ。


大大大好きな人の3歩後ろを歩くなんて夢のまた夢。


生きてる心地がしない。


本当に夢の中にいるみたい。


ドキドキもバクバクもしないことはないけど、そんなの通り越してとにかく幸せなんです!


すれ違う人々は私を白い目で見る。


マスクに眼鏡姿の病弱男に嬉しそうに着いていくなんて頭おかしいんじゃないって思われてるんだろうな。


誰も知らない、私と陽翔くんの秘密。


キャーッ!


叫びたいくらいヤバめな体温で血が沸騰しまくり。


愛がふきこぼれそう。



「はい、ここでストップ」


「うわっ!」



急にストップなんて言われたから上手く静止出来なくて前につんのめった。


ん?


ここ、どこ?


来たことあったっけ?


なんと私二葉ことりは、屋上へ続く薄暗く陰鬱な踊り場に高校3年目で初めてやって来てしまいました。


それにしても、何でこんな場所へ?


私校舎案内するんじゃなかったの?


状況を把握出来ずおろおろしていると、ドンッと陽翔くんが壁を叩いた。