「お前が誰だかなんてどうだっていい。あたしと契約を結びなっ!」
ゆいが持つ剣から漆黒の霧が出てくる。ゴゥ…と低い音を出し、段々と視界が悪くなっていく。何が起こっているのか理解できない。
「ゆい!ちょっと待って!落ち着いて!」
私は咄嗟に大きく翼を広げ、動かした。少し扇いだだけではあったが、霧は一気に消えていく。契約魔法を打ち切られたゆいは大声で怒鳴り出す。
「あたしの言うことを聞いていればいいんだ、龍族如きがあ!」
正気の沙汰ではない。何をこんなにも興奮しているのだ。
「あたしはお前が欲しい!あたし以外はみんな悪者だ!だから他の奴らを信じるな!」
…どの立場で言ってるんだいったい。ゆいは既に青の魔族と赤の元部下である魔族にターゲットにされている。そう思った矢先、私とゆいの間にひとりの研究員が滑り込む。
「ゆい…やめなよ!またこんなことをして…!」
めいだ。めいは諭すようにゆいをなだめようとするがゆいは怒りをあらわにした様子で言葉を続ける。
「あー、めい。そうやってまた純粋でいい子なふりをするんだね。あたしは知ってるよ。今までのこと全部ね。」