ムスッとした目でその男の子を見る。
「…あ、失礼致しました。」
と言うと指をパチンと鳴らす。と同時に口に巻かれていた鎖が消えた。
「やっと話せる」
ホッとため息をついた私はすぐさま話し始める。
「町に関しては、謝って許されることじゃないと思う。でも心の底から謝るよ。自分でもあまりよく覚えていないけど…」
相変わらずニコニコと穏やかな表情をうかべる男の子に続ける。
「その町の広場に14歳くらいの男の子と24歳くらいの女性がいませんでしたか…」
男の子は私に衝撃の一言を投げた
「2人ともご無事です」
全身の鱗が逆立つ。バリバリと音を立てて鎖が悲鳴を上げている。
(生きている…!生きている…!)
「男の子の方は亡くなっていたと思われていましたが、なんと不思議なことに息を吹き返しました。女性は赤の魔道士の幹部でありまして、判断を誤ったことによる厳罰を受けております」
心の底から安心した。自分でも生気が蘇っていくのが感じられる。
クロウは生きていた。あの時諦めずに血を飲ませて良かったと思った。だがこの知識もクロウが教えてくれたことだ。あの子は私を守って自分をも守ったのだ。