次の日、私はいつものようにクロウを待っていたが必ず来る時間に彼は来なかった。
「買いすぎて休み休み来てるのかな」
そんなことを考えながら待っていたがやはり来ない。木々の影が細く長くなっていく。
ーーなにかがおかしいーー
全身の鱗がゾワゾワと逆立つ感覚に襲われる。私は大きな羽を広げ、ゆっくりと風の力を借りて天を目指した。ドクンドクンと心臓が脈打つ度に視界がよりはっきりとしてきている。クロウが毎日通っている道が開けていたおかげですぐに町を見つけることができた。しかし、そこで見たものは目を疑う光景だった。
「クロウ!!!」
町の広場のような場所に集まった群衆の中央に裸にされたクロウが横たわっていた。やせ細った身体の一部は曲がるはずのない方向へ曲がっている。まさに処刑される寸前であった。大きな斧を持った男が今か今かと処刑の合図を待っている様子でいる。クロウはピクリとも動く様子もない。
「あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''!!!!」
言葉にもならない咆哮は怒りに満ちていた。上空からの急下降のせいで鼻先の鱗は剥がれ落ちていった。