私が目覚めた場所には何も無かった。建造物や人工で作られた物も一切ないザ・シゼンだ。
「ここがどこだか知らないと…それに…」
私はゆいとめいが脳裏に浮かぶ。悔しかった。どうしてあの時止められなかったのか…。悔しくて悔しくてたまらない。自分の長い首を天に掲げる。
「ゆいー!めいー!」
無性に叫びたくなってしまった。森にこだまする自分の声を幾度も聞いていた。
「「うるせーんだよっ」」
あれ?…こだまに混じって違う声が聞こえる。
気のせいだろうか。気のせいでも今は人を見つけなければならない。
「おーい、誰かいませんかー!」
「おーい」と何度も宛のない呼び声にどこからか声がした。
「「うるせーって言ってんだろ!」」
気のせいじゃなかった。空ばかり見ていた私だったが湖のほとりに小さな人影を見つけた。
…小さいなぁ。と心のどこかで思ったけれど自分が大きくなってしまっただけなんだよなあとも思ったかな。
顔を見るために首を下げて見るとそこには小さな男の子がいた。