めいが車から降りるとゆいはすぐに車を走らせた。まるで逃げるようにお店から遠ざかっていく。
「ねぇ、どうしたの?」
「…前からおかしいと思ってたんだ。めいのこと。」
重い空気が車内に漂う。ゆいは顔を顰めて続けた
「VALONの爆サイ見た?」
「…見た」
私たちが働いているお店、VALONの裏サイトの書き込み掲示板を爆サイという。そこにはお店の情報はもちろん良いことも悪いことも自由に掲載できた。ゆいが言っている話題は最近になってゆいと私の話題だけが上がっているということだった。もちろん悪い噂。
「匿名だから分からないけどさ今日の出来事であたし確信したんだけど」
VALONの爆サイ情報を見ながら話を聞く。
「上の方だったよね、最初の話題投稿。」
確か250あたりじゃなかったかな、と思いつつページをめくっていく。
「だってめいのことだけ書かれてないなんて不自然すぎる。あたしたちいつも一緒に行動しているのに。」
確かに、悪さをする時も怒られる時も泣く時も一緒な私たちなのだから。