「…ん、りん!」
「まったく、つねっても起きないんだからこの子は。」
徐々にはっきりとしていく意識の中に美女がいた。
「めい、ゆい…」
「何変な顔してんの。もうお昼だよ。」
布団から上半身を起こすとそこにいたのは私の友達だった。…そういえば昨日、ゆいの家に泊まったんだっけとぼんやり思い出した。宅飲みしようとゆいが言い出して缶ビールや焼酎をコンビニで買って大騒ぎしながら飲んだのだ。
「子供なのに無理するからでちゅよぉ」
ゆいが台所からにやりと顔を覗かせる。
「うるさいなぁ、多分私がいちばん飲んでたでしょ」
ドヤ顔をしたのもつかの間、ピンクのパジャマのボタンを外しながらめいが
「歳の数だけ飲もうとか言い出してたの誰なのよ」
「そうそう!あたしは24だから24本。めいは21だから21本。りんだけ18本だったじゃん!」
「ごめん、まったく覚えてない」
ヘラヘラと笑う私につられてめいもゆいも笑った。
「着替えたらショッピングモールに行こうよ」
ゆいが火のついたタバコを消して芳ばしい香りを漂わせながら目の前に座る。
「朝から話していたけどりんが起きないから右手をつねったりしてたんだよ」
(…あの痛さってめいのつねりだったのかな)