コンコン。


ドアが音を立てた。


ベッドの上の時計を見ると23時を少し過ぎていた。



「さーやちゃん。しゅうだよ。顔色悪かったから来てみたんだけど大丈夫?」



大丈夫...ではない。


だけど頭の中がぐちゃぐちゃしている状態でしゅうくんに話しても仕方がないから、今日はまだ話さないでおこう。



「しゅうくん心配かけてごめんね。私頭痛持ちだからたまに痛くなるんだ。薬飲んだから大丈夫だよ」



ドアに近づいてそう呟く。


ほんとは甘えたい。


優しくされたい。


温もりを受け取りたい。


でも、こんな顔で会えないよ。


こんな精神状態じゃ余計に心配させてしまうよ。


だから、ごめんね。


会わないしかない。



「そっか。じゃあゆっくり休んでね」


「うん、ありがとう」



しゅうくんの部屋のドアが開き、がしゃんと閉まる音を聞いてから私はまた布団に潜り込んだ。


泣きすぎてますます頭痛がひどくなった。


あまりの痛さに泣き出した理由さえ一瞬見失った。