それ以上その声を聞き続けると本当に何をしでかすか自分でもわからなかったから、六花を守るためにもやめておいた。 「あーあ、報われねぇな、俺」 あの日、六花にキスをしてしまったことを、今でも悔いている。 いや、後悔はしてない。 ただ、とんでもない博打をしてしまったなぁと反省をしている。 六花はいつか俺のことを好きだって気づく、なんて大口を叩いたけれど、実際、これっぽっちも自信なんてないんだ。 そうだったらいいなって、自分で言い聞かせたようなもの。 情けないことこの上ない。