「……。」 布団を捲ると、そこには見慣れた女の子が気持ち良さそうに寝息をたてていた。 「六花……」 英単語帳を抱き締めて眠っているその姿は、警戒心という言葉を知らない少女のようだ。 こいつ、ここがどこだかわかってんだろうな。 家に親がいないことを承知の上でこんなことしてたら説教ものだ。 「おーい六花、こんなとこで寝てんじゃねぇよ。起きろ」 肩をつかんで揺さぶっても、「んん……」と唸るだけでこれっぽちも起きる気配がない。 「はぁ……」