視線が私の授業板書ノートから床に移動して、バチリと目が合った。 やば…怒られる…… 「はやく俺のとこに来ればよかったのに」 「……へ?」 覚悟をして目を強く瞑っていたのがバカらしいくらいに、かけられた言葉は優しかった。 なんか、拍子抜け。 「あの先生ちょっと変なやり方っていうか、独特な世界観もってるから分かりにくいと思うよ。俺だってたまに何言ってるかわかんなくて有に訊くもん。アイツ塾行ってるからわかりやすく教えてくれるし」 お、おぉ……。 「じゃ、ルシャトリエの原理から説明しよっか」