本日9月15日。
うしろの黒板には『橘さん、二神くん、本日放課後第2会議室へお願いします』と丸い文字で書かれている。
白いチョークのひっかき傷。私と日世の名前しか書いてない。
うわ、また乙女思考出てるよ、私。
「うわお」
「なに」
「堂々デート」
「ちがうし。変なこと言うな」
それを見た暁奈に開口一番からかわれた。にかっと笑った唇には、新作のリップティントが塗られているらしい。
ツヤツヤと紅い色を放つ唇が、なんとも色っぽく見えた。
「……ねぇ暁奈。私もメイクとかした方がいいかな」
「なにいきなり」
「いや、男の子ってそういうのが好きなのかなって」
朝の寝ぼけた頭じゃ、まだ理性的な考え方はできない。思ったことが全部口に出る。
私の顔、首、体、全部を舐めまわすように見た暁奈が、私の顔を覗き込んで言った。
「メイクなんかしなくてもかわいいよ」
だめだ。心臓に悪い。
かわいすぎ。
同じ女の私でもどきっとしちゃうんだ。男の子がこんな事されたらたまったものじゃないだろな。
「……わかった。昼休み、あたしのメイク道具で化粧してあげるから。それでいい?」
「ありがと」
優しくて、察しのいい友人を持った。



