恋泥棒の犯行予告




あの話があってから、特にこれといって変わったことはなかった。

文化祭は9月末。今は9月の半ばだから、そろそろ準備をしてもいい頃だとは思うけれど何も動きはない。

私たちはいつかのロングホームルームのときの熱量を忘れて、勉強をするごとに自分に積み重なっていく課題とひたすらに向き合っていた。

と思っていたのに。


「今日の放課後から向こうの人たちと会議の時間を設けたいと思います。出席してくれる人はいませんか」


朝礼の時間に手がピンと挙がったと思ったらこれだ。

生徒会役員がやってくれるんじゃないの? といった空気が一瞬にして教室中に漂う。

そりゃそうだ。誰だって自分の将来が不安で仕方ないのに、お遊びみたいなものに時間を割いている余裕はない。


「いないならこちらから指名させていただきますがそれでもいいですか?」


やめてくれ。

ほんとにやめてほしい。

黒板に書かれた今日の日付。9月14日。

私の名簿番号、14番。

嫌な予感がして、体中の筋肉がこわばる。


「では、まずひとり、今日は14日なので、橘さん。お願いしてもよろしいですか?」


あーあ。

嫌な予感ほど当たるもので、クラス中の視線が私に集まっていた。