恋泥棒の犯行予告



当然のことだけれど、水曜日の放課後に面談をするから職員室へ来いと先生に呼ばれた。

目の前に広げられた私の模試結果と成績表。


「橘さんは看護学部に行きたいのね?」

「そう……です、」


進路指導の新井先生にそう尋ねられ、不甲斐なくも言い切ることができなかった。


「あれ、もしかして迷ってる?」


誰だって不思議に思うだろう。

模試の志望校欄は看護学部で埋め尽くされているのに、本人がいつまでも煮え切らない返答をしている。


「あの、親に反対されてて、私のいうことなんて聞き入れてもらえなくて……」

「あぁそういうこと。お母さんかな?」

「いえ、父親です」


私のことなんてちっとも気にかけてないくせに、進路にだけは口を出してくる。

どれだけ説得しても、全て無視。

正直、もう疲れた。


「父は医学科に行けっていうんですけど、私の今の成績じゃ無理で……どれだけそれを伝えても、努力が足りないからだって言われるし、そもそも私医学科に行きたいわけじゃないし……」


だから、もうどうしたらいいかわからなくて……。

そういうと、先生はにっこりと笑って私の頭をわしゃわしゃかき混ぜた。


「負けたら終わり。強い女になりなさい」


絶対に泣いちゃだめよ、と言われ、その日の面談は幕を閉じた。