恋泥棒の犯行予告


「そうなんですか?」

「そうよ。いっつもむすっとしとった子が、いきいきしとる」


ええお友だちに出会えたんやね、と。

そういえば、日世と仲良くなる前の不破島くんについて何も知らない。

本当かどうかわからない噂はたくさん流れていたけど、それを確かめたこともない。

なにを考えてるのかよくわからない人だから、今の言動についていくのに必死になってしまうんだ。


「おふたりさん、」


花火を全部並べ終わったころ、おばあさんに声をかけられた。

円いレンズのメガネを頭の上にあげて、こちらを見て言う。


「お互いを大事にね。崩れるのは一瞬よ」


頭の中に浮かぶは、圭斗と別れることを決意した日のこと。

本当に一瞬だった。

日世も同じことを考えていたのか、どちらからともなく、手が重なる。

「はい」


近づいてくる騒々しい足音。

あの人たちが来たら、この手はほどいてしまうけど。

いまだけは、かたく、誓いのように繋いでおこう。