六花の小さな唇が、紅く色づいている。

本能には逆らえない。

吸い込まれるように六花の唇へ近づき、あと少しで触れるというときに、階下から母親の声がした。


「六花ちゃーん、そろそろお家帰りなさいよー!」


さっきまで流れていた甘い空気はさようなら。

まぁ、あれだ。こういうもんだよ。

考えていたことは2人とも同じだったようで、ふふっと笑みがこぼれる。