「俺さぁ、パルクールとかやってみたいんだよね」 「んー、なんかすごい容易に想像できる」 「だろー? ぴゅんぴゅんって障害物越えたい」 「大学入ったら探してみれば? パルクールサークルみたいなの」 「あるかなー」 ほんと、どうでもいい他愛ない会話。 こういう時間が俺は大好きだ。 ──ブブッ、 会話が途切れた隙を狙って鳴ったバイブ音。 スラックスのポケットから鳴った音はそれきり途絶えてしまった。 「誰?」 「んーと、あ、六花から……」