「不純異性交遊はんたーい。校則違反により逮捕されまーす」
夕日のオレンジが充満した教室に響いた、聞き慣れた声。
ほんっと最低。
余韻に浸る暇も与えてくれないの?
「なんでここにいんの。アンタいつもならそそくさと帰るくせに」
「ちょっとね。小野川先生と世間話を」
「へぇよかったじゃん。かわいい先生とお話できて」
社会科の小野川先生は、髪が薄くなってきたのが悩みのマスコット的おじいちゃん先生としてみんなに好かれている。
先生に質問でもあったならそのまま帰ってくれればよかったのに。
非難を込めて日世を睨んでも、「おぉ怖い怖い」とバカにされるだけに終わってしまった。
何かを聞きたそうに廊下側の窓から身を乗り出して、こちらをじっと見つめてくる。



