花火が上がるのは川の下流の方だけど、あえて思いっきり上流まで上がっていく。 「来るよ」 ヒュ──、という細い音の後、夜空に咲いた大輪。 直後、大きな太鼓を叩くような音に心臓が揺れた。 「ね、きれいでしょ」 「ほんとだ」 上がってから消えていくまでを何にも邪魔されることなく見届けられるこの場所を、幼いときに日世と見つけた。 それからというもの、夏はここで花火を見なければいけないという勝手なルールが私の中でできていた。