「紫雄を好きになるあたり、さすがさあやだ。アイツと付き合えば、まあ間違いないだろうな」



っていうか、協議じゃなくて私が恋愛相談してるみたいになってない?


協議は?


何の協議をするつもりだったの?



「さあやの好きにすればいい...なんて生ぬるいことをおれが言うわけない。そこで協議だ。紫雄と付き合うかどうかおれと協議しよう。利点も欠点も考えた上で最善の結論を出そう」


「いやいや、意味不明なんだけど。なんで黒羽くんと協議しなくちゃならないの?」


「それはもちろん...」



私の肩に黒羽くんの大きな手が乗る。



「さあやはおれの親友だからだ」


「は?」


「忘れたのかよ。ほんと、おれには興味ないんだな」



そういうとベッドに転がり込んだ。



「眠いなら寝ればいいじゃん」


「眠くなんてねえ。これはふて寝だ」



ふて寝か。


幼児感満載で手に余ります。


なんだか精神的に疲れて眠くなってきてしまった。


ふわぁ...。


欠伸が出た。


今なら寝られそう。



「帰ってもいい?眠くなってきた」


「おい待てよ。協議が終わってない」


「協議なんか必要ないよ。これは私が決めること。黒羽くんの意見は聞けない。自分の心と向き合って決めるから。じゃあ、お休み」


「おいっ、さあや!」



ダッシュで扉に向かい、開けて閉めた。


ドタンっという隕石が落ちてきたくらいの大きな衝撃音の後に、私は鍵を開け、自室に飛び込んだ。


ふぅ。


今日もとんだ1日になっちゃったな。


あ、待って。


今日じゃないじゃん。


もう、5日になってるよ。


清掃開始まで後1時間半。


しばし休憩致します。