ハロウィン当日。

 場所は去年のクリスマスパーティーにも使用したレストランで、涼介と一緒に向かっていた。


「涼介はどんな仮装をするか決まってるの?」

「いや、男子の分は適当に用意されてて、その中から選ぶ感じらしいんだ」

「へぇ、そうなんだね」


 あれから真田が色々と準備してくれて、ハロウィンパーティーは仮装して参加することになった。


 そういえば前に真田が『涼介にはお化けのマントを被らせるんだ!』と教室で叫んでいた気がする。

 男子の分の仮装を用意したのは真田なのかもそれない。


「ふふっ」
「なに笑ってるの?」

「いや……この前、真田が涼介にお化けの仮装させるって言ってたのを思い出して。本当にさせる気なのかなって」

「ああ、確かに言っていたね。お化けの仮装ってマントを被らないといけないらしいから、誰が仮装してるかって絶対にわからないだろうに」


 涼介もお化けの仮装を思い浮かべたのか、ふっと小さく笑みをこぼした。

 お化けの仮装って、食べ飲みすらまともにできないだろう。せっかくのパーティーが十分に楽しめない気がする。


「俺的には愛佳にお化けの仮装をして欲しいな」
「え、どうして」

「愛佳だってわからない仮装が一番ありがたいから。もし可愛い仮装をして他の男が愛佳に見惚れるなんて、考えただけで……」

「あー、はいはい。そこまで心配しなくても大丈夫だから」


 それなら私だって、涼介がお化けの仮装をすればいいのにって思う。

 周りは私の仮装なんかより、涼介の仮装に注目するに決まってる。


「じゃあ愛佳はどんな仮装か決まってるの?」

「うん。沙彩が準備してくれるんだけど、定番の魔女にするって言ってた」

「……何だか嫌な予感がするね」
「えっ?」


 涼介は真剣な表情で呟いたため、不安になる。
 嫌な予感って何だろう。

 けれど、そんな涼介の“嫌な予感”は会場へ到着後、的中することになる。