体育祭も終わり、徐々に暑さが増していく6月下旬。
テストが近づく中、放課後に私は涼介と図書室で勉強をしていた。



「はぁ…受験勉強もしないといけないのに」


3年になると受験勉強が本格的に始まる中、普段のテスト勉強も加わるとなれば大変だ。


日頃から授業は真面目に聞いているし、予習復習もしているけれど。

少しでも内申をプラスにしたいため、テスト勉強も疎かにはできない。


「やっぱり3年は大変だね」
「うん…でも涼介はテスト勉強、余裕でしょ?」


常に学年一位という記録を持つ涼介は、本当に恐ろしい人間だ。

私ですら学年一桁がやっとだというのに。


「余裕ではないよ、こうやって勉強しないと結果はついてこないからね」

「そんなこと言って、要領がいいからもう完璧でしょ?涼介の頭が欲しいなぁ」


私なんかよりもずっと賢い涼介は、きっと名高い大学を目指すんだろうな…なんて。

一緒の大学に通える方が珍しいはずだ。
大学の選択は社会に出る上で大きく関わってくる。


“一緒にいたいから”という理由で同じ大学など選べるはずはないし、私の頭が足りない。


「あーあ、一生このままで良いのに…」
「突然どうしたの?」

私がため息を吐くため、涼介が心配そうに声をかけてくれる。


幸い、叔母さんは私が大学へ行くことに反対せず、むしろ勉強して良い会社に就くようにと言われた。

もう余計な面倒を見たくないからだろうけれど、大学に行かせてもらえるのはありがたい。