あれは何時頃だっただろうか。
珍しく夜中に目が覚めると、全身に痺れるような感覚が走って。

私の体に誰かが触れていた。
すぐにその相手が涼介であるとわかった。


まさか寝込みを襲われるとは思っておらず、初めての体験に戸惑いしかなかった。


特に何かしたわけでもないのに、涼介はご褒美を欲しがって。

恥ずかしい気持ちを押し殺して彼にキスしてあげると、ようやく解放してくれた。


結局その時の涼介の真意などわからなかったけれど、朝起きると彼はいつもと変わらない様子だったため、問いただすことはやめた。


出来るだけ思い出したくない。
未央ちゃんが隣に寝ているというのに、あんなことをされて。

本当に恥ずかしかったのだ。
幸いにも未央ちゃんは深い眠りについていたため、バレずに済んだのだが。


「あ、あの…愛佳ちゃん」
「どうしたの?」

「昨日は本当に迷惑かけてごめんなさい…。
泊まらせてくれてありがとう」

「えっ…」


それは朝起きてすぐのことだった。

キッチンに立ってご飯の準備をしていると、知らない間に未央ちゃんが帰る用意を済ませ、家を出ようとしていたのだ。