「突然押しかけてごめんね。
君が話の通じる相手で良かった」


宮木と呼ばれた男と神田拓哉が家を後にする。
その時、ようやく緊張感から解放された。

やはり天帝との直接対決は避けたい。


幸いにも愛佳と白野未央は仲良くなっているおかげで、何とか上手くまとまりそうだ。


部屋に戻ると、ふたりは深い眠りについている様子が確認できた。

起こさずに済んで良かったと思う。


「……本当にかわいいね」


常に無防備な愛佳は、いつでも手が出せる状態だった。

頬を指で撫でると、愛佳はピクッと反応した。


「ん…」


だが起きる様子は全くない。

先程までは起こさないよう注意していたけれど、今度はどこまで手を出したら起きるだろうかと試したくなってしまう。


目が完全に冴えているため、寝付けそうにない。
余計に理性というものが薄れていく。

追い討ちをかけるかのように、愛佳が寝返りを打ち、俺の方に体を向けてきた。


まるで自ら手を出してもいいと体を差し出しているかのようだ。

なんて、何を考えているんだろう。
愛佳のことになると簡単に心が揺らぐから危険だ。


何かに引き寄せられるように、愛佳の唇に自分のそれを重ね合わせる。

ただそれだけで満足するはずがなく。
無理矢理その唇をこじ開けたくなるが、さすがにダメだと自分を抑える。


「んん…」


けれど、愛佳の甘い吐息が再び俺を誘う。
高ぶる感情のまま、彼女の体に手を伸ばす。

これで目が覚めたら愛佳は怒るだろうか。
そうだとしても、きっと頬を赤らめながら怒るはずだ。


愛佳の首筋に触れ、ゆっくりとなぞって一本の線を描く。

すると彼女はくすぐったいのか、体を捩った。