「はぁ…」

せっかくのデートのはずが。
こんな結果になってしまい、気分はガタ落ちだ。


とはいえ素直に店に戻るのはプライドが許さなくて、涼介の連絡を待とうと思った。


それにしても、ひとりは全く楽しくない。
涼介となら楽しいと思えていたはずなのに。

少し前の私なんて、ひとりの方が楽だとすら思っていたのだから不思議だ。


本当に涼介といたことで変わったなと思っていたその時。


「…い、いやっ…」

「そんな怯えんなよ、な?」
「俺たちが楽しいコト、教えてやるから」


いつの間にか人通りの少ない道に来ていた私は、ふと女の子の嫌がる声が耳に届いた。

見ると、明らかに悪そうな男ふたりに絡まれている制服姿の女の子がいた。


怯えている彼女は、今にも大きな瞳から涙が溢れ出しそうだった。

これはさすがに見逃せない。


今まで散々危険な目に遭ってきたせいか、自然と体が動いていた。


「あっ、やっと見つけた!
こんなところにいたの!?」

少し大きめの声を上げると、女の子だけでなく、男ふたりもこちらを向いた。


「探してたんだからね。
ほら早く行くよ?」


そばに寄って彼女の腕を掴んだその時。
男たちがニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ出した。


「……へぇ、この子の友達か?いやぁ、すっげぇ綺麗だな。これから俺たちと遊ばないかって話になってんだけど、君もどう?」

「もちろん来るよなぁ?」


まあ簡単に行くとは思ってなかったけれど。
面倒くさい男に捕まっていたものだ。


「ごめんなさい、私たち彼氏と来てるの。
だからもう行かないと」

「でもこの子、ひとりでいたんだぜ?
彼氏と喧嘩でもしたんだろ?」

「だから俺たちが慰めてやろうと思って」


彼氏というワードを出しても引き下がらない男たち。
ここは大声を出して相手を刺激するか、あるいは逃げるべきか。

最悪の場合、蹴りでも入れてやろうと考えていたその時だった。