約束の12時を30分も過ぎた頃 
入り口の来客を告げるベルが鳴る。
真っ白なジャケットを着た聡と聡の連れのマサルが入ってきた。
私の席 テーブルを挟んで 聡とマサルが座る。

「こんにちは…旅行どうだった?」
聡はまるで自分に話かけられていないみたいに タバコに火をつけて 窓の外を眺めてる。

突然「あっ これ土産…やるよ」とホテルの名前入り紙袋をぽいっとよこした。

「ありがとう…」そのまま3人は全く話もしなくて 
10分・15分と時間が過ぎていき 

「俺用事あるから 行くわー」と席を立とうとした。
マサルが呆れ顔で
「土産渡すだけの用だったわけじゃねぇだろう…まったく世話の焼ける奴だなぁ~」と
苦笑いしながらわたしの顔を見る。

あんた こいつの事どう思う?好き?嫌?」

えええ~~~もしもだぞ…あんた好きだったら こいつ口説いてくんねぇ~こいつ自分じゃ言えないから…本当に情けないよな…好きだから土産買ってスーツ着込んで来たくせに…女のあんたに言わすなんて 最低だけど…もし好きならさ あんたから口説いてやってよ…いい格好したがんだよ…こいつ」