ねぇ好きってなんでこんな辛くなるの?





太陽の光が突き刺すように感じる。
眩しくてぐっと瞼に力を込める。あれからもう1年かとふと思った。去年の今頃、私は幸せだったっけな。蝉が煩くないている中、鼻腔をつつくような夏の匂いが去年の想いを振り返らせる。
不意に生暖かい風が私の切りそろえられた髪の毛をくすぐり、ふと我に返る。
「理都ー、待ってー。」
遠くから名前を呼ばれて振り返ると同じ制服をまとった女の子が無邪気な笑顔を向けて走ってくる。
アスファルトが鋭い太陽の光を反射していて初めはよくわからなかった。
じっとしていると周りに陽炎がたってることに気付く。
ようやく近くに走ってきた。
私にぶつかりそうになる直前にバタンと止まり荒い呼吸を整える
「マキ、おはよう」
そう声をかけるとマキは満面の笑みで
「理都!おはよ!」
と元気いっぱいに答える。マキは中学の時からの友人であり、お互い良き理解者という立場でもある。
だが同じ高校に進学したものの、中学の倍以上の数のクラスの中に埋もれてしまい会う機会がめっきり減った。
かと言え中学の時も1度も同じクラスにはならなかったが、私たちを繋げていたものは部活だった。
私たちの文学部は部員数も決して多くはなく特に目立ったことはないぐらいの部活だったが、部長と副部長という関係の中、3年間で築き上げたものは大きかった。
マキは男女共に愛されるような女の子で情に厚い、少し抜けている面もあるがそこに人間味を感じる。
今となってはやはりマキが部長で良かったと思う。

「遅いよ、マキ」

「間に合ったからいいんだよー」

少し肩で呼吸をするマキを横目に私は少しペースを落として歩く。
パタパタと手で顔を扇ぐマキ。マキの首筋にまで汗が伝ってきている。顔の見せる範囲は汗だくでそれをマキは腕で拭う。その汗の量がマキが焦って走ってきたことを語っている。