二人の両親を 東京に呼んで、顔合わせも済ませた。

週末は 結婚式の準備で、式場に行くことが増えた。

花嫁衣裳を決めるとき 佳宏はとても熱心で 美咲を驚かせた。



打合せの後、食事をしながら

「不思議だね。私達、ここまで来るのに 10年もかかったんだよ。」

と美咲が言う。

「俺は、ずっと待っていたからね。」

と佳宏は 得意気に答える。
 

「嘘ばっかり。佳宏、他の人と付き合っていたくせに。」

美咲が口を尖らせると、
 
「そりゃ少しはね。でも遊びだよ、全部。」

佳宏は笑って答える。
 

「全部?何人と付き合ったの?」

問い詰める美咲に、
 
「忘れたよ、昔のことは。」

と佳宏は言う。
 


「えー。ずるい。教えてよ。」

美咲が甘く言うと佳宏は、
 
「秘密。大丈夫、今は美咲だけだから。」

と嬉しそうに笑った。
 


「今だけ?」 

美咲は小さく呟く。
 

「ごめん、ごめん。これからずっとだよ。」 

佳宏は 笑いながら言う。