今の生活を 捨てるなんて、美咲には できなかった。

多分、美咲は 聡よりも収入が多い。


都会での生活は、出費も多いけれど。

それでも 楽に生活できる収入があった。
 


聡と結婚して、聡の収入での生活。

2DKのアパート。

この部屋よりも安い家賃。



何年か経ったら ローンで家を建てて。

子供を産んで、手が離れたら 美咲もパートで働く。

時給800円の仕事。

地元の同級生のように。
 


美咲が今 東京にいるから、聡は美咲を求めている。

もし新潟に戻って 地元の同級生と 同じ生活をしたなら 聡は 美咲に興味を失くすだろう。


美咲の輝きが 無くなってしまうから。
 


「横山君に好きな人できたら、いつでも言ってね。私、邪魔しないからね。」

美咲が言うと、
 
「馬鹿。俺のセリフだろう。」

と聡は 美咲の唇を塞いだ。



聡が 結婚を口にしたのは、美咲への 責任感だったのかもしれない。


多分、聡も 今の関係に満足している。



その夜の聡は、いつも以上に 熱く甘く美咲を求めた。