達也と付き合って 4年が過ぎた春 達也は異動の辞令を受けた。
 
「大阪だって。俺、行きたくないなあ。」

と拗ねた声を出した後で 達也は、
 

「美咲、一緒に来てくれる?」

と言った。驚いて 達也を見つめる美咲。
 
「本気なの?」

とやっと言う。
 


「うん。結婚しよう、美咲。」

と達也は続けた。

美咲は 喜びよりも、戸惑いの方が大きくて 言葉が出ない。
 

「よく考えて。美咲の仕事もあるし。すぐ返事しなくていいから。」

達也は 美咲の反応に 不安そうな顔で言う。


美咲は頷いて、
 

「ごめん。少し考えさせて。」と言った。
 


美咲には今、東京を離れて 達也に付いていく自信がなかった。

長く付き合っていても 焦がれるような思いは 一度もなかった。


このまま結婚していいのか。美咲は迷っていた。
 


年齢的に、結婚するなら 今しかないとは思う。

達也と別れてしまったら、今度は いつ恋ができるのかわからない。


達也は 勤務先も一流で安定しているし。