「いつ、東京に帰るの?」

聡は 美咲の潔さに 惹かれていた。
 
「明後日。次に会う時は 10年後のクラス会かな。」

髪を整えながら 美咲が言うと、
 
「じゃあ、明日。明日、もう一度、会おうよ。もっと美咲と一緒にいたいよ、俺。」


聡の言葉は、美咲を 甘く幸せな気持ちにした。
 
「そうだね。それもいいか。」

少し寂しく微笑む美咲を 聡は抱きしめた。
 

聡の真意はわからない。

でも、確かに 聡は美咲を求めた。


美咲はそれだけで良かった。


中学生の頃のコンプレックスが 美咲の心から流れていく。

美咲は 重く大きな荷物を下ろしたような、すっきりした気持ちだった。