淡く浅いまま、ずっと美咲の心に 引っかかっていた聡。


思い切って聡に抱かれたことで 美咲は 思春期のほろ苦い思いを 塗り替えることができた。
 
聡は、美咲の堅い身体に 違和感を覚えながら 徐々に溺れていった。


初めての女の子を 抱いたことがなかったから。

美咲の 清潔でぎこちない反応は 新鮮で。聡を夢中にした。
 

その後で 聡の醒めた心に 一瞬後悔がよぎる。

美咲が シャワールームから出てくると
 

「初めてだったの?」

と聡は意外そうに聞いた。
 
「でも気にしないでね。」

美咲は 少し俯いて頷いた後で言う。
 

「東京に 彼氏いるのかと思った。」

聡は 言い訳のように言う。


美咲への責任が 心を重くしたその時、美咲は ゆっくり首を振って
 

「横山君が責任感じること ないからね。」

と潔く言った。美咲の言葉を 聞いた途端に 聡は未練を感じた。
 

「寂しいこと言うなよ。」

聡は切なく言う。

「私に彼がいると思って 誘ったでしょう。私も、そう思われていると知っていて 付いて来たから。だからいいの。」

美咲の意外な言葉に 聡は驚く。
 


「美咲、本当に変わったな。いい女になったよ。」

いつの間にか 美咲と呼ぶ聡。
 
「ありがとう。いい成人式だったね。」

美咲の中で、一つの季節が 終わっていた。