大学の4年間は 美咲に 自由で自然な生活を教えてくれた。

自分を抑えて みんなの真似をする必要はない。


無理に我慢していた 中学時代が馬鹿らしく思えた。

美咲は 正直に 自分を表現できるようになっていった。
 



成人式のクラス会で 久しぶりに会った中学の同級生は 美咲の変貌に驚いた。
 
「何か美咲、感じが変わったね。」
 
「うん。垢抜けて 東京の人って感じ。」

中学生の頃、美咲を遠ざけていた女子達が 美咲のまわりに集まってくる。
 

「何も変わらないよ。一人暮らし しているから、少し逞しくなったのかな。」

美咲が 笑顔で答えると、
 
「ううん。やっぱり何か違うよ。綺麗になったし。」と言う。
 


美咲は 昔よりも生き生きしていた。

自分に 正直になれたから。


美咲自身、中学生の頃の自分よりも 今の自分の方が好きだった。
 


それに外見も 美咲は変わっていた。

眼鏡をコンタクトレンズにして、髪もゆるく巻いている。


昔、姉を悩ませた 明るい色の髪は、柔らかく美咲の顔を包む。


彩美ほど美人ではないけれど、美咲も明るい笑顔が似合う 可愛い女の子になっていた。