3月の終わり。


軽井沢は まだ寒いけれど、春を感じさせる明るい陽射しの中。

和哉と美奈子の結婚式は行われた。
 


「美奈ちゃん、綺麗よ。」

着物姿で 上品に微笑む麻有子。
 

「うん。麻有ちゃんにそっくりだよ。」

笑顔で言う智之に、
 

「それ、私を褒めているの?お姉ちゃんを褒めているの?」

と美奈子は苦笑する。
 
「パパ。絵里加は?」


珍しく おねだりをして買ってもらったという 白いドレスの絵里加は 天使のような愛らしさで智之に聞く。
 

「パパ、もう泣きそうだよ。絵里加、お嫁に行かないでね。」

智之は 絵里加を抱き寄せて言う。

絵里加は満足そうに笑って、


「大丈夫。絵里加も美奈ちゃんみたいに、結婚しても パパの近くにいるからね。」

と言って、みんなを笑顔にしていた。