家の設計が決まるまで、智之達は 頻繁に軽井沢を訪れた。

両親や美奈子達と一緒に、打合せに参加する智之。

遠慮する両親や美奈子達を抑えて。


美奈子達には 贅沢過ぎる家に、プランがまとまった。
 


家の打合せの合間に、両家の家族で顔合わせをした。


「私、謝らなければなりません。和哉から お姉さんのこと聞いて、正直 付き合っていけるのか心配していました。」


和哉のお父さんは、神妙に言う。
 
「こんなに良いご姉妹なのに。会いもしないうちから、偏見を持ってしまって。本当にすみません。」

と頭を下げるお父さん。
 

「お父様、止めて下さい。こちらこそ 色々 勝手に決めてしまって。」

麻有子が 驚いた顔で、お父さんを制する。
 
「いやいや。二人で決めれば良いって 言っていますから。むしろ うちのことまで 気にしていただいて。」

和哉のお父さんは、麻有子達の 穏やかな謙虚さに 安心していた。
 

「和君には、私達も これからずっと お世話になるので。ずっと、仲良くしていきたいと思っています。」

智之がそう言って、麻有子と頷き合う。

お父様は驚いた顔で
 

「そんな風に 言ってもらえて。和哉は 田舎育ちで 野暮な男ですが、どうか可愛がってやって下さい。」

と言うお父さん。
 

「お父さん、ひどいな。田舎者は お互い様だろう。」

と和哉が言って、みんなが笑う。
 

「和君の 誠実な人柄は お父様譲りなのね。」

と麻有子が笑顔で言う。
 
「麻有子さん、私も誠実ですよ。」

とお母さんが続けて、明るい笑い声が広がった。