美奈子は 絵里加の思いやりに 驚いていた。

絵里加が 結婚すると寂しい と言った智之の言葉で、美奈子と父を 想像した絵里加。
 

「どうすれば、じいじ、寂しくないかな。」

智之は 絵里加に問いかける。
 
「うーん。絵里加の家が近くなら、絵里加が 毎日来るんだけど。」

絵里加は、真剣に考えて 困った顔をする。
 


「大丈夫だよ、絵里加。美奈ちゃんは、結婚しても軽井沢にいるから。じいじの家に、すぐ来られるからね。だから寂しくないよ。」

父が絵里加に言うと、絵里加は笑顔になって
 
「本当、美奈ちゃん。」

と美奈子に聞いた。
 
「そうよ。絵里ちゃん、心配してくれて、ありがとう。」

美奈子の言葉に、絵里加は 安心した顔をして、智之と麻有子を交互に見た。
 


「絵里ちゃん。美奈ちゃんの部屋で、本読んでいていいよ。」

美奈子の部屋には、児童書がたくさんある。

美奈子が言うと、絵里加は目を輝かせて
 

「ありがとう。壮君、行こう。」

と言って、壮馬と一緒に 2階へ上がって行った。