美奈子達が 東京に行った翌週末、麻有子達は 軽井沢に来た。


麻有子のウエディングドレスを 貸してほしいと言った美奈子。

麻有子は早速、ドレス一式を持って来た。

「多分、大丈夫だと思うけど。もし直す所があれば、早めに手配しないと いけないでしょう。」

豪華なドレスを開いて 麻有子は言う。

美奈子は 麻有子と同じような体型だから、そのまま着られると思っていた。


「わあ。綺麗。ママ、これ着たの?」

絵里加が 目を輝かせて、ドレスを見る。
 
「そうよ。今度、美奈ちゃんが着るのよ。」

麻有子は 優しく言う。
 

「いいなあ。絵里加も このドレス着て、結婚式したい。」

少女らしい絵里加の言葉に、
 

「パパは 絵里加が結婚する時、泣いちゃうよ。」

と智之が言う。
 
「どうして。」

不思議そうに 智之を見る絵里加。

みんなが笑顔になる。
 


「絵里加がお嫁に行って、家から いなくなったら、パパ すごく寂しいでしょう。」

智之は 優しく絵里加を 膝に乗せる。

絵里加は 満足そうに 智之を見上げて微笑む。

そして
 
「じゃあ、じいじも泣いちゃうね。美奈ちゃん いなくなったら、すごく寂しいでしょう。」

と絵里加は 父の顔を見る。
 


「絵里ちゃん、優しいわね。じいじの心配してあげて。」

麻有子は 絵里加を優しく見つめる。

絵里加は 少し照れた顔をした。