絵里加も壮馬も、大人が話している時は 邪魔をしないで遊んでいる。


4人が それぞれの思いを伝え合って、笑顔が戻った時、
 

「ねえ、パパ。まだ お祖父ちゃまの家に 行かないの。タッ君達、和君のこと待っているよ。」

そっと絵里加が 智之に言う。
 
「そうだね。そろそろ行こうか。」

智之は そう言って みんなの方を見た。



絵里加に促されて、みんなで お父様の家に向かう。

麻有子の家から お父様の家までは、5分とかからない。
 


「さっきの人混みが嘘みたいに静かだね。」

高級住宅街の雰囲気に 和哉は驚いて言う。

「和君、あれが お祖父ちゃまの家だよ。」

和哉と 手を繋いで歩く壮馬が 指差す。
 
「うわ。すごい豪邸。」

和哉の素直な声に、

「でしょう。私も 最初はびっくりしたよ。」

と美奈子が同意する。
 
「実は、私も。」

と麻有子も はにかんだ笑顔で言う。
 

「ですよね。」

と言う和哉に 二人は頷き、智之は優しく微笑む。