和哉が、いつか 美奈子の実家を建替えて、両親と暮らしたいと 言ってくれた時、美奈子は 嬉しい驚きで、涙を溢れさせた。


和哉は そんなにも 美奈子のことを考えていた。

美奈子は小島家に嫁ぐのに。
 


そして、智之と麻有子の言葉は、もっと美奈子を驚かせた。


美奈子達が同居する家を、智之は 建てさせて欲しいと言った。


まるで 麻有子達のわがままのように。


両親の近くに居られない負い目を、少しでも解消させてほしいと。
 


麻有子が、豊かに暮らしていることを、美奈子はずっと 自分と切り離して考えてきた。

麻有子は、それだけの努力をしてきたから。

当然の違いだと思ってきた。


でも麻有子は、自分が今幸せなのは、両親や美奈子のおかげだと言う。

いつも謙虚に、周りに感謝して。


そして、何ができるか 考えてくれる麻有子。


結婚という 人生の一大事を前にして 美奈子は、自分がどれほど幸せかを知る。


和哉にも、家族にも大切にされて。