二階から戻って来た和哉と、ゆっくりお茶を飲んで 近況を話した後で、智之は
 

「二人の新居なんだけど。」

と言って 和哉と美奈子の顔を見る。
 

「和君、美奈ちゃんのご両親と 一緒に住むことは 抵抗ある?」

と続けた。

和哉よりも 美奈子の方が驚いて

「うちで?無理よ。もう古いし、部屋だって足りないわ。」と答える。
 

「俺、少し考えていたよ。いずれ、美奈子の実家を建替えて、お父さん達と 一緒に住めたらいいなって。」

和哉の答えに、美奈子は驚いて

「えっ。」と言って絶句する。
 

「もし、和君が 嫌じゃなければ。一緒に住んでもらえないかな。そうしたら、俺も麻有ちゃんも安心なんだけど。」

智之と麻有子は頷き合う。


「パパも もう年だから。いつまでも お店できないでしょう。この機会に お店を閉めて、家を建替えたらどうかしら。」

麻有子が言う。
 
「そんなこと。簡単に言わないでよ。頭金くらい貯めてからじゃないと。」

と美奈子は 呆れたように笑う。