結婚式を 春休みに決めて。

和哉の両親は、美奈子両親に 挨拶に来た。

和哉の家と美奈子の家は、家族の信念が 似ている。

それを感じた親達は 安心していた。
 


「私達、遠くて。何もできなくて。すみませんが、和哉を宜しくお願いします。」

和哉の父が言うと、
 
「いいえ。嫁に出すのに、近くに置いてしまって。こちらこそすみません。」

美奈子の父も 神妙に答える。
 

「和哉の仕事が こっちですから。お父さん達が近くにいてくれて、私達も安心です。」

和哉は 大学生の頃から 家を離れている。

両親は 和哉が結婚しても、実家の近くに戻るとは 思っていなかった。
 


「美奈子さん、和哉にも家のこと、協力させてね。」

和哉の母は美奈子に言う。
 
「はい。和哉さん、一人暮らしが長いから 何でもできて助かります。」

美奈子が 正直に言うと 美奈子の母は慌てて、
 

「これだから。本当に恥ずかしいです。」

と苦笑した。
 

「美奈子さんは 素直だから。それが一番です。」

と和哉の母は 優しく言う。

嬉しそうに微笑む和哉を見て、
 

「和哉が鼻の下を伸ばしているよ。」

と和哉の父は 明るく笑う。




「止めてくれよ。」

と急に 顔を強ばらせる和哉。

どちらの両親達も 二人の姿に 満足していた。