以前 和哉の父も、兄の結婚式で 入場して来る義姉と その父親を 羨ましそうに見ていた。
 

「俺は 娘がいなくて良かったよ。恥ずかしくて、あんな風に歩けないよ。」

披露宴の席で 父はポツンと言っていた。


和哉は 笑顔で 父に相槌を打ったけれど、娘とバージンロードを歩くということは、父親の夢なのかもしれない。

娘を持たないと 叶わない夢。


和哉は まだ実感がないけれど。

もし娘が生まれたら、その日を夢見るだろう。