美奈子が 廣澤のお父様と バージンロードを歩きたいと言った時、和哉は少し驚いた。

もしかして美奈子は、廣澤家と親戚だということを 自慢したいのかと思った。
 


でも 美奈子から理由を聞いた時、和哉の心に 温かな幸せが満ちてきた。

自分が選んだ美奈子は、とても優しい女性だと確信した。
 


廣澤の家族は みんな謙虚で、自分達の生活レベルで 優位に立ったりしない。

だから和哉も、すぐに みんなと仲良くなれた。

穏やかで明るくて。いつもきちんとしていた。
 


立派な家族で、和哉は 尊敬するけれど。

正直、毎日一緒にいたら 疲れてしまう。

あまりにも立派過ぎて。
 


その点、美奈子の両親は 丁度良い具合に、ゆったりとしていた。

夕食の後、こたつで 横になってテレビを見るとか。

お風呂上りに、濡れた髪を 拭きながら出てくるとか。


和哉の実家と 同じような、寛いだ生活を していた。
 


廣澤家と 対等に付き合いながら、自分達の生活を ぶれずに 維持している美奈子の家族。

その強さと 自信を見て、和哉は 心から美奈子の両親を 尊敬していた。


美奈子は そんな両親の子供だから。

和哉は 安心して結婚できると思っていた。