看護師として 働く理香。

みんな 職場では 中堅になっていた。
 

「わかる。最近、一年が早くて。人の子供の面倒見て 気付いたら 自分は、子供が産めない年に なっていたりしてね。」

美奈子も ため息混じりに言う。

理香はうんうんと頷いて、
 


「美奈子の家は、お姉さんが 結婚しているから いいじゃない。うちなんて、お兄ちゃんも独身だし。親が嘆いているよ。」と言う。
 
「うちは、お姉ちゃんが凄すぎて。逆に、親は 何も言わないけどね。」

美奈子は笑う。

「美奈子のお姉さんは 特別だから。今は “普通” も難しいのにね。」

美奈子は 理香の言葉に 頷く。
 


“普通” ってなんだろう。


ただ仕事をしているだけでは 駄目なのか。

年頃になったら 結婚して 子供を育てて。


そして やっと “普通” になれるのか。

美奈子は 最近考えてしまう。答えなんかないのに。