いつも 自分の位置に納得し、無理をしない美奈子は 誰からも好かれ、敵を作らない。


穏やかな両親に愛され、守られ続けていたから 疑うことを知らない。

自分に係る全てに、優しい思いやりを返す美奈子。
 

和哉は、そんな美奈子だから愛した。

今まで 美奈子を守っていた家族に代わり、これからは 自分が 美奈子を守りたいと思った。


美奈子も和哉を愛し、温かな思いやりと 優しさで 和哉を包んでくれるから。
 


いつも和哉が、自分のことを思っていてくれる。

そう思うことは、美奈子の心に 余裕を与えた。

肉親以外で、そこまで 美奈子を思ってくれた人は 初めてだったから。


困った時は 助けてくれて、悲しいときは 支えてくれる。

嬉しい事があると、一番に 話したくなる。


そういう存在が 自分にいると思うことは、美奈子の心を広げ、美奈子に 今まで見えなかった世界を見せてくれる。
 


保育園でお昼を食べている時、和哉は給食を食べたかなと思う。

急に雨が降ると、和哉は 傘を持っているだろうかと心配する。

スーパーで 美味しそうなお刺身を見て、和哉に食べさせたいと思う。
 


離れている時間も、美奈子の心から 和哉の存在が 消えることはなかった。

美奈子は今まで、自分以外の誰かを そんな風に思ったことがなかった。


美奈子自身も、いつも 和哉のことを 思っていた。