賑やかに 後片付けをする男性陣を 庭に残して 美奈子は麻有子達と一緒に 部屋の中に入る。
 

「美奈ちゃん、これから忙しくなるわね。」

麻有子が コーヒーを淹れながら言う。
 
「麻有ちゃん、もっと言って。この人達、本当に呑気で。何も決めてないの。」

母が 呆れた顔で 美奈子を見て言う。

クスクス笑う麻有子に、
 

「智之と麻有ちゃん達も そうだったわ。」

とお母様に言われ、麻有子は顔を赤くする。
 

「何を決めればいいか、よく解らないのよね」

と言って 美奈子に同意を求める麻有子。
 
「全部、初めてのことだから。」

と美奈子が答え、みんなが笑う。
 


「二人とも、いい大人なんだから。しっかりしなさいって パパが言っていたわ。」

母が困った顔で言う。
 

「和君、すごく良い人で。良かったじゃない、ママ。」

麻有子が言うと、みんなが頷く。


「美奈ちゃんには、出来過ぎた旦那様よ。」

と言う母に
 
「ひどいなあ。」

と美奈子は頬を膨らます。
 

「美奈ちゃんが 素直で良い子だからよ。」

と優しく お姉様は 言ってくれた。
 


「見て。すっかり仲よくなっているわ。」

と庭を見て、お母様も笑う。
 

「本当。和哉、来るまでは 不安そうだったのに。」

と美奈子は苦笑する。
 
「和君の人柄よ。」

と麻有子に言われ、美奈子は神妙な顔で頷いた。