夜は、別荘の庭で バーベキューをすることにした。

堅苦しい食事よりも、その方が 和哉も気楽だろうと お父様は言った。

夕刻、美奈子と一緒に 別荘に来た和哉。
 

「初めまして。小島です。これからも 宜しくお願いします。」

深々とお辞儀をする和哉。

一通りの挨拶が済むと、
 

「ねえ、早速で悪いんだけど 炭に火を熾すの、手伝ってくれる。」

とお兄様に言われ、
 

「僕、アウトドア派なので。そういう事、得意なんです。」

と和哉は ニコニコして庭に出て行く。

不安そうに 麻有子を見る美奈子に、
 

「大丈夫よ、美奈ちゃん。和君、もうみんなと 仲良くなっているわ。」

とお姉様は 庭を見る。

楽しそうに笑って話す男性陣。


好奇心に満ちた目で、和哉に話しかける子供達。


あっと言う間に 和哉は、廣澤の家族に 溶け込んでいた。
 


「みんなに会う前は、緊張していたのよ。」

少し不満そうに 美奈子は言う。
 

「和君の誠実さ、みんなに伝わるのよ。」

と麻有子は 優しく美奈子を見る。

「お姉ちゃん、そんな顔で見ないで。何かすごく照れるじゃない。」

頬を染めた美奈子に
 

「美奈ちゃん、可愛いわ。良い人に出会えて良かったわね。」

とお母様も微笑んだ。